入管法改正案について


 みなさんこんにちは、ニュースでは毎日のように入管法改正に関する報道がされています。外国人の在留資格に関連する事柄が大きく取り上げられるのは、今までになかったことのように思います。そこで、今日は入管法改正案について取り上げてみたいと思います。

1.簡単に入管法とは

 日頃、入管法と呼んでいる法律の名称は「出入国管理及び難民認定法」といいます。外国人だけでなく日本人も含め日本国に入国する人と日本国から出国する人、そして、日本に滞在中の外国人が対象になります。そのなかで、日本に滞在する外国人について、滞在の目的や滞在中の活動について規定したものが在留資格です。以前のブログでも書きましたが、区分が30種以上に及ぶ複雑な仕組みです。現在開会中の臨時国会で審議する改正案では、新たな在留資格として「特定技能」を設けることなどが含まれています。

2.今回審議する改正案をながめてみる

 法務省のホームページをみると、今回の入管法の改正案が公開されています。今日はそのなかから、法律案要綱という資料をもとにお話ししたいと思います。法案提出の背景等はニュースなどで盛んに報道されていますので、ここでは法案そのものの内容をみたいと思います。今回の改正案の要点は次の2点です。今回はこれを中心にみていきたいと思います。

① 在留資格「特定技能」の新設

② 所管部署である入国管理局を出入国在留管理庁へ組織改編

(1)目的について

 入管法第1条には、入管法の目的が掲げられています。現在の条文は

(目的)
第1条 出入国管理及び難民認定法は、本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする。

となっています。今回の改正ではここに、「本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理」という内容が加わります。条文はつぎのようになります。

(目的)
第1条 出入国管理及び難民認定法は、本邦に入国し、又は本邦から出国する全ての人の出入国及び本邦に在留する全ての外国人の在留の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とする。

これまでも、日本国内に在留する外国人の在留は、オーバーステイや不法就労の取締りなどを通じて行われてきました。今回、改正案で法律の目的に「在留の公正な管理」が盛り込まれたことは、これまでの取締り的な在留管理に加え、日本社会での健全な生活を支援するといういわば「生活指導」的な管理に行政が乗り出すことを意味しているのではないかと思います。そのために、同時に国会に提出された法務省設置法改正案では、入国管理局を出入国在留管理庁に組織改編します。出入国在留管理庁には、これまでの業務を行うとみられる出入国管理部と新たに在留管理支援部が置かれます。新たに置かれる在留管理支援部が、「生活指導」的な施策の推進と管理を行うのではないかと思われます。これまでの行政が行ってきた在留中の外国人対する支援は十分とは言えず、外国人同士や地域社会の活動に頼るところが大きかったと思います。法案が成立して具体的な施策を実施する法務省令や規則などで具体的内容が明らかになるのを待って改めて考えたいと思います。

(2)在留資格「特定技能」について

 今回の改正案では、新たな在留資格として「特定技能」が設けられます。「特定技能」は、国が指定する人材確保が困難な産業分野について、熟練した技能労働者の日本国内での就労を認めるというものです。現在、技能労働分野の人材を受け入れている在留資格「技能実習」は、職業訓練を目的としたもので就労を目的としたものではありませんでした。今回、在留資格「特定技能」を設けることで、技能労働者の日本国内での就労が可能になります。在留資格「特定技能」は二つの分類を設けることになっています。主な内容は、つぎのとおりです。

① 特定技能1号

 ・活動内容は、法務省令で定める相当程度の知識又は技能を要する業務に従事する活動
 ・在留期間は最長5年で家族の帯同は認めない。(在留資格「家族滞在」は認めない。)
 ・1号特定技能外国人支援計画に基づく職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援が
  所属機関または登録支援機関により実施される。
 

② 特定技能2号

 ・活動内容は、法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動
 ・在留期間の上限は設けない(5年以上の在留が可能)、家族の帯同も可能。(在留資格「家族滞在」が認められる。)

 特定技能1号と特定技能2号を比較すると、特定技能2号の方が職業上の熟練度及び生活上の成熟度が高いことが求められています。その業務の内容や技能の熟練度の評価及び日本語の能力などの具体的内容は、法案成立後に公表される法務省令などのなかで制定されていきます。

(3)特定技能雇用契約等

 在留資格「特定技能」で活動する外国人と所属する機関(雇用主)との間では、法務省令で定める基準に適合する「特定技能雇用契約」を結ぶ必要があります。これは、待遇や業務内容などの面で、日本人と同等の取り扱いをする雇用契約を結ぶよう、国が法律で所属する機関(雇用主)に義務付けようとするものです。過去にあった外国人の労働問題を考えると自然な流れだと思います。

(4)1号特定技能外国人支援計画

 在留資格「特定技能1号」で活動する外国人については、「特定技能雇用契約」を結ぶことになる所属する機関(雇用主)には、「1号特定技能外国人支援計画」の適正な策定と実施が求められます。その内容は、「特定技能1号」で活動を行う外国人が、活動を安定的かつ円滑に行うために職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を行うよう求められています。これは、所属する機関(雇用主)に仕事のことは当然として、日本での習慣や社会のルールなどを指導助言するよう求めています。日本国内の生活に早く順応して仕事に集中できるようにして、問題行動を未然に防止するよう求めているように思えます。この「1号特定技能外国人支援計画」の策定と実施は、所属する機関(雇用主)が行うことが原則ですが、出入国在留管理庁長官に登録した「登録支援機関」の支援を受けて策定及び実施することも可能です。また、実施状況を届出る(報告する)こととされます。

3.結び

 「出入国管理及び難民認定法」改正案の概略を私なりにまとめてみました。法案では、所属する機関(雇用主)や「登録支援機関」などの届出や報告及び罰則などもあります。具体的には法務省令等で定められます。今回の改正案で私が重要だと考えているのは、出入国在留管理庁に在留管理支援部を設けて、国が外国人の在留活動を支援するところです。これは、全ての在留外国人に対してゆくゆくは影響があるのではないかと思っています。外国人が日本社会と融和して協調して歩んでいけるようにお互いに努力しないといけないのではないかと思います。

(参考) 法務省の法案のURL:http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00017.html

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