外国人留学生の就職状況について


みなさんこんにちは、今日はふたたび外国人留学生の就職状況について、今月に入り法務省が公表した資料をもとに考えてみたいと思います。

1.法務省の公表の資料の概略

法務省は平成30年10月公表の資料として「平成29年における留学生の日本企業等への就職状況について」という広報資料を法務省のホームページに公開しました。その内容は、日本国内の企業等に就職するため、平成29年中に在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」等の就労系の在留資格に変更申請した外国人に関する集計です。申請件数・許可件数・不許可件数や、学歴別の件数、就職先企業規模別の件数、地域別の件数等を集計しています。

2.学歴別の状況を検討してみる

この法務省の資料で、私が注目したのは学歴別の許可の状況でした。外国人が就労系の在留資格を取得するには、専門性や高等教育機関など受けた教育内容が、就職する企業等での職務内容と関連性があることが求められています。実際の審査では、大学院や大学を卒業した外国人は職務内容と学校で履修した科目との関連性がやや緩やかに扱われ、専門学校を卒業した場合には原則どおりの関連性を求められるとされています。私はこの傾向が数値的にも妥当するのかを確認してみようと考えました。職務内容と履修した科目の関連性について、上述した傾向が数値的にも妥当した場合、大学生・大学院生では在留資格の変更の許可率が高く、専門学校生では変更の許可率が低い、という傾向になるかを確認することにしました。(以下は、(資料1)【留学生の学歴別在籍数及び就労系資格への変更状況まとめ】を参照しながらご覧ください。)

(資料1)は、法務省入国管理局、「平成29年における留学生の日本企業等への就職状況について」(平成30年10月)と独立行政法人日本学生支援機構「平成29年度外国人留学生在籍状況調査結果」(平成29年12月)のそれぞれの資料で公表されている数値をまとめたものです。緑色のセルが公表されている数値です。黄色のセルが公表されている数値をもとにした推定値です。推定値の算出方法は、(資料1)の下部に記載してあります。

 法務省の資料では、留学生全体の変更申請件数27,926件、許可件数22,419件、不許可件数5,507件と全体の件数はそれぞれ公表しました。一方、学歴別の件数は許可件数のみが公表されました。法務省の資料から読み取れるのは、全体の許可率が80.28%になるということだけです。私は許可率を学歴別でも求めるため、日本学生支援機構が公表している集計値を利用しました。日本学生支援機構は留学生が在籍する学校の種類別(=学歴)の人数を公表していました。それが、(資料1)の(A)行にあたります。これで、留学生の学校種類別の分布を推定できます。(A)行の学校種類別の人数を合計人数で除した数値を、留学生の学校種類別の比率としました。この比率をもとに法務省が公表していない(B)行の学歴別の在留資格変更許可申請件数と(D)行の学歴別の不許可件数を推定してみました。つまり、就職希望者の分布は、留学生全体の分布と同じであると仮定していることになります。

 推定値のうち、短期大学とその他については、有効な推定値と言えませんでした。母数が少ないためだと考えられます。実態は就職希望者が圧倒的に多いと思われます。つぎに、大学・大学院・専門学校についてみてみます。許可率は大学院79.92%、大学87.70%、専門学校53.98%となりました。許可率は、大学院・大学と専門学校では25%を超える開きがありました。この結果は、私が日頃感じていることを裏付けてくれる結果になりました。

 大学院・大学に通う学生は、就職後の実務の基礎となる専門的な教育を広範にうけており、各職業分野の基礎となる知識を習得しており、また、一定の外国語の能力を有していると評価されやすい傾向にあり、職務の妥当性ありとの判断が出やすいとの傾向が数値からも確認できたと思います。一方、専門学校生は、学校の特質から学習している内容が職業実務に直結したものとの評価され、職務の妥当性の判断の許容範囲が狭くなっているため、就職先の職務内容との適合性がより厳しく問われる傾向が数値から確認できたと思います。在留資格の許可要件は、その他にも多数の事項がありそれらを総合的に判断して行われますから、この検証の結果が全てとはいえまんが、通学していた学校に着目する限りでは、妥当するのではと思います。

3.最近の在留資格制度の改正の動向

 政府はつぎの臨時国会で、在留資格「特定技能」の創設と出入国在留管理庁の設置を行う法改正を行います。最近のニュースはそちらが中心ですが、留学生が日本で就職しやすくするため在留資格「特定活動」の運用を見直して、一定の日本語能力がある留学生が「アニメ制作」「日本食の調理配膳」「ゲーム制作」などの職業分野で就職できる道を検討しているようです。以前のブログでも書きましたが、私は日本で留学して勉学した留学生が、日本人の学生と同じように就職活動をして就職できるようにする道を開くべきだと思っています。今回の政府の検討は歓迎すべきだと思います。(参考文献;西日本新聞朝刊 2018/10/17)

4.結び

 今回の検証はかなり乱暴だったかも知れませんが、私や私の知人が日頃思っていることを、ある程度数字で裏付けることができたと思います。社会がグローバル化するなか、あらゆる仕事の現場で、国籍を問わず一緒に仕事をする必要がある時代になりました。そうしないと経済の成長はない時代です。その時代にふさわしい在留制度の見直しが必要だと思います。

本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

法務省の資料のリンク http://www.moj.go.jp/content/001271107.pdf

日本学生支援機構のリンク https://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/2017/__icsFiles/afieldfile/2018/02/23/data17.pdf

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