講演会「明日の都市農地を考える」に参加して


みなさんこんにちは、9月25日に東京の御茶ノ水で、「明日の都市農地を考える」と題した講演会に参加してきました。講演の内容は、生産緑地の2022年問題を踏まえた、都市農地(市街化区域内農地)の活用に関するものです。制度と土地利用に関する講演が7テーマありました。その中で気づいたことをお話ししたいと思います。

1.制度面のはなし

9月7日の投稿で、2022年問題を踏まえて生産緑地についての農地所有者の選択肢を整理しました。そこに、今回の講演会で説明された事柄を加えてみると、下の図のとおりになります。

 今回の講演会で新たに分かったことは次の2点でした。

(1)特定生産緑地の指定受けないで、現在の生産緑地指定のままでいることも選択することが可能です。その場合は、30年経過の時点で宅地化すべき農地として扱われますので、税の負担は大幅に増えることになります。一方、市町村に対する買取請求がいつでもできることになります。しかし、前回お話ししたとおり市町村は買取請求に応ずることは殆んどなく、今後もこれに変わりはない模様です。そうすると、宅地への転用を前提にした買い手の募集を行って、民間業者などが購入するという流れになっていくと考えられます。

(2)特定生産緑地の指定を受けた場合、今年の通常国会で成立した「都市農地の賃借の円滑化に関する法律」に基づく認定事業として市民農園に利用することができるようになります。また、「特定農地貸付法」により市町村又はJAの行う特定貸付農地として利用するための貸し付けも行えます。

 以上の2点が加わりました。

 また、生産緑地内に農家レストランなどを設置する際の基準や、要件の緩和に関する内容の解説もありました。一団性の要件はかなり緩やかになったと思います。ただ、細部は各市町村が設定する審査基準や取扱要項などで制定されますので、市町村の都市計画担当課や農業委員会から情報を入手していく必要があります。また、市町村によっては、特定生産緑地の指定に向けた意向調査や相談を順次開始しているところもあります。相談ごとのある方は、一度市町村に連絡を取ってみるのも良いかも知れません。

2.土地利用面でのはなし

 講演会では、実際に都市農地を利用して民間事業者が行っている事業内容の紹介が3例ありました。内容は「市民農園の運営のサポート事業」、「都市部での里山保育事業」「株式会社による農業運営事業」に3つでした。

 「市民農園の運営サポート事業」は、所有者に管理しやすく利用者に利用しやすいを目標にして、市民農園の運営と利用のハードルを下げて、市場の拡大をはかる事業と映りました。2022年に向け、特定生産緑地の指定を受けた農地の一部がこの事業に活用されると思います。「市農地の賃借の円滑化に関する法律」などとの関係性の整理は、これからと思われます。

 「都市部での里山保育事業」は、生産緑地を転用した土地に保育園を開設して、そこで、自然体験や昭和40年代以前に子供の遊びの中にあった「泥んこあそび」などの体験を通して、心身成長をはかることがねらいのようです。教育内容の説明が主でしたので、土地利用の問題としては、農地転用のひとつの事例でした。

 「株式会社による農業運営事業」は、大手流通企業傘下のベンチャーが農業経営を行っている事例でした。若い人が普通の就職先として農業を選べるような仕組み作りに苦心されているのがよく伝わってきました。また、栽培する作物は消費者のニーズがダイレクトに取り込める仕組みを模索しているがわかりました。消費者ニーズ取り込みと生産性向上で高い収益をあげることが、農業の会社化で可能になるとういう感想を持ちました。農業への会社の参入が行いやすい法整備が必要と感じました。

2.結び

 2022年問題に関連する制度の整備はまだ途上にあります。今後も情勢を注意深く見つめていく必要があると思います。
 
 本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

(参考文献)
農地法読本三訂版            宮崎直己著 2016年6月 大成出版社
農地法の解説改訂二版          2016年11月 全国農業委員会ネットワーク機構
                         (一社)全国農業会議所
ここが変わる!農委、農地制度      2015年 全国農業会議所編
農業委員会法改正について        2015年9月 農林水産省
「生産緑地研究会」のとりくみと都市農地制度改革の提言   一般財団法人都市農地活用支援センター 
講演会資料「明日の都市農地を考えるー民間事業者は新しい生産緑地制度をどのように活用できるかー」
                            2018年9月 多世代交流型拠点整備を考える会

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