ふたたび生産緑地のはなし


みなさんこんにちは、今日は農地のはなしで、ふたたび生産緑地のお話を取り上げてみたいと思います。前に生産緑地の話しを取り上げたときは、制度の枠組みと改正された生産緑地法の内容をご紹介しました。今日は、2022年に向けて生産緑地指定が終了するときの動きを考えてみたいと思います。

1.生産緑地指定が終了するときの選択肢

まず、生産緑地指定が終了する時のアクション(行動)について、行政手続きとの関連を中心に整理してみました。選択肢は、アプローチの方法を変えると他にもいろいろとあると思いますので、私の整理した選択肢は、一つの例としてご覧ください。

 生産緑地指定が終了する2022年を前に、生産緑地の所有者に対して市町村の都市計画を担当する部署から、特定生産緑地の指定を希望するかを確認する書面(申請書)が送付されるのではないかと考えられます。申請しないと生産緑地指定終了してしまうため、所有者に不利益が及ばないようにするため、このようにする市町村が多いと考えられます。先を見越して、農地転用などを計画している所有者の方は、この申請書の送付より先に農地転用などを始めているケースも考えられますが、ここでは、申請書を最初のスタートにしてお話を進めます。

(1)特定生産緑地の指定を受ける場合
 特定生産緑地の指定を受けると、10年間生産緑地指定がされたことになり、以後は10年間の更新制となります。この間は、営農を継続する必要があります。そうすると、問題になるのは営農の形態になると思います。所有者自身で継続する、後継者に引き継ぐ、人に貸し出す、耕作を他の人に頼むなどがあげられます。

 農地を他の人に貸す(賃借権)または他の人に小作料を払って耕作してもらう(永小作権)を設定して耕作してもらうことを行う場合には、農地法第3条に許可申請が必要です。借り手は農地利用集積円滑化事業などを利用して探すことを推進している市町村が多いようです。

 耕作を他の人に委託する場合は、農地利用集積円滑化事業を利用して、耕作希望者を探すことになると思います。

(2)特定生産緑地の指定を受けない場合
 特定生産緑地の指定を受けない場合は、その農地は、行政上は宅地化すべき農地として扱われます。そうすると、税制上は宅地と同じ扱いでの課税なされ、税金の負担が増えることになります。このような点を考えると、特定生産緑地の指定を受けない場合は営農を継続しないということになると思います。そうなった場合の選択肢は、宅地化する、緑地として維持する、市町村への買取請求になるかと思います。

 まず、宅地化する場合は、農地法第4条または第5条により農地転用の届出を行い、地目を宅地に変更して、建物の建築や駐車場などの施設を設けることになります。

 宅地化せず緑地として維持したいとした場合、現在の仕組みでは農地転用をする必要があると考えられますが、緑地として保全することの公益的な必要性などを考慮した特別な制度が必要だと思います。そのような制度が、存在するのかまたは制度化の議論があるのかは、これから調べていきたいと思います。

 最後に、買取り請求ですが、生産緑地法では第10条に市町村に対し買取りの申出することができることになっています。この規定は、生産緑地の指定から30年を経過する日までにすることができます。しかし、第1項は区画整理などの行政上の理由によるもの、第2項は営農者である所有者な著しい心身上の障害による営農継続の不能となっています。市町村もあらかじめ予算措置しているとは考えにくいのが状況です。申請しても結論が出るのに相当の長い期間がかかると見込まれます。また、買取りが認められるケースは殆んどないと言って良いのではないかとも思います。

2.結び

 2022年問題は、不動産活用の問題を中心として話題になってきていますが、行政上の手続の準備はこれからのようです。生産緑地の所有者に不利益が生じないような制度の整備と円滑な手続き体制の構築が望まれると思います。

(参考文献)
農地法読本三訂版            宮崎直己著 2016年6月 大成出版社
農地法の解説改訂二版          2016年11月 全国農業委員会ネットワーク機構 (一社)全国農業会議所
ここが変わる!農委、農地制度      2015年 全国農業会議所編
農業委員会法改正について        2015年9月 農林水産省
「生産緑地研究会」のとりくみと都市農地制度改革の提言   一般財団法人都市農地活用支援センター 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です