農業委員会について


 みなさんこんにちは、更新がなかなかできず申し訳ありません。今日は農地に係るお話として、農業委員会を取り上げてみたいと思います。農業をされていない方には農業委員会という言葉は、馴染み薄いと思います。今日は、農業委員会の仕事の一部をご紹介したいと思います。

1.農業委員会の成り立ち

 農業委員会は、各市町村に設置された行政委員会です。行政上の位置付けてとしては教育委員会と同じといえます。市町村の職員とは別に市町村長から任命された農業委員が、市町村の農業について公正中立な立場から、地元の農業振興をはかるために方針を議論し決定する委員会です。事務局には市町村の職員が配置され日常的な業務を行っています。実際、農業委員会の事務局は市役所や町村役場の庁舎内にあることが多いです。また、各市町村を取りまとめる組織として都道府県農業会議、全国を取りまとめる組織として全国農業会議所が置かれています。

2.農業委員会の仕事

 つぎに、農業委員会が行っている仕事の内容をみていきたいと思います。

(1)農地及び農家の状況把握
 
農業委員会は、市町村の農業振興のための組織ですので、市町村内にある農地(田畑及び採草放牧地)や農業を営んでいる人々の状況を把握する必要があります。そのために、農業委員会は農地台帳を整備しています。農地台帳は、農地(田、畑及び採草放牧地)となっている土地の利用状況を把握しています。土地一筆(一筆とは登記上の1区画)毎に、所有者・耕作している人を把握しています。また、実際に耕作しているか、していないか、栽培している作物なども登録されています。このように農地ごとの耕作状況を把握して農地の有効利用の基礎資料としています。また、これらの情報の一部は、地図情報システムにデータ化されており、農地の利用状況をインターネット(全国農地ナビ)で確認することもできます。

 また、農業に従事する人々についても、一般農家と農業所有適格法人(旧農業生産法人)とも、従事者状況や生産設備(トラクター・コンバイン等)の保有状況及び作物の生産量などを把握して、農業経営の状況を把握します。また、今後の経営意向(経営方針)なども把握して農業振興策の策定の基礎資料としています。定期的に意向調査を実施して、各農業経営者が考える今後の農業経営の方針を確認して、市町村全体の振興策の基礎資料としています。

(2)農地法に基づく権利設定・転用の承認

 農業の振興を図るため、農地の売買・賃貸借などの権利移動及び権利設定と耕作以外の用途での利用には、以前このブログでお話したとおり、農業委員会の許可が必要です。この許可がないと開発許可や登記手続きできないようになっています。農業委員会では、月例で農業委員会総会を行って、これらの許可申請を審議して農業振興の妨げにならないかを主要な問題として検討します。審議結果は意見書にまとめられ申請書とともに都道府県へ送付されます。都道府県では審査を行い最終的な許可・不許可が決定されます。

(3)農業振興策

 農業委員会は、農業の振興を目的の一つ柱にしています。そのために、農地の有効利用の推進と農業従事者の育成の活動を行っています。

 農業経営規模の拡大と耕作効率化のため、農地の集約化と集団化を行っていきます。地域内で同種の作物を栽培する農地を、できるだけ1か所まとめて耕作の効率化は図っていきます。これを実現する計画を、地域の農地利用適正化推進委員を中心にとりまとめていきます。

 農地の有効利用をするため、農地中間管理機構(簡単に言うと、農地と耕作希望者をマッチングする組織です。)と連携をとって、経営規模の拡大につながるよう、農地所有者に中間管理機構への登録を助言したり、耕作希望者がいないか調査を行います。

 農業への新規参入者にも支援を行っています。農地の確保や近隣農家との関係構築及び経営方法の助言などを行い、農業の振興を図っていきます。

3.農業委員会法の改正

 農業委員会法は平成28年4月1日施行の法律で、規定の大幅な見直しが実施されました。私が一番変わったと思っている箇所は、農業委員の選出が選挙制から市町村長の任命制に変わったところです。農業委員会は第二次世界大戦後の農業改革政策の一環として、民主的な農業政策運営を目的として、農家の合議制による自治組織として行政委員会の形で生まれたとものと私は考えています。そのため、委員会を構成する農業委員は、農家台帳に登録されている農業従事者で耕作日数などの要件を満たす方を選挙権者とし、被選挙権者となる農業委員立候補者も農家台帳に登録されている農業従事者の方が立候補していました。しかし、農業の高齢化と農業従事者の減少は、この仕組みを維持することを困難にしました。選挙の形骸化、立候補者の不足や選挙権者の減少は、農業委員会の存立そのものに影響が出る事態にまでなったと思います。農業委員会制度を存立させるためには、農業委員の選定方法を変えるしかなかったと私は思いました。だた、任命制になったことで、外部委員を任命することができるので、より広範な意見が農業委員会のなかに反映されるようになると思います。これはこれで、良いことだと私は思っています。

4.結び

 行政上の問題で農業を取り上げる場合、農業委員会は大きな役割を持っていますので、私なりのまとめ方になりましたが、一度、取り上げてみたいと思っていました。農業と農地に関連する法令がより柔軟な形に改正されて、新規参入の条件が緩和され農家の経営で自由な施策ができるようになると、農業は再び活性化できるのではと思います。それには、農業経営の会社組織化が必要だと思います。サラリーマンのような形で勤務して、作物を製品と位置付けて栽培して販売し収益を上げる。収益を研究開発に活用してさらに高付加価値の作物を生み出す。そのような働き方が普通になれば、若い人も農業を普通の就職先だと思うようになるのではないかと思います。これを、やりやすくする法令の整備が必要だと私は思います。

(参考文献)
農地法読本三訂版            宮崎直己著 20166月 大成出版社
農地法の解説改訂二版          201611月 全国農業委員会ネットワーク機構 (一社)全国農業会議所
ここが変わる!農委、農地制度      2015全国農業会議所編
農業委員会法改正について        20159月 農林水産省

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