人生のエンディングを考える(その7)-自分自身の身の回りのこと(その4)-


「人生のエンディングを考える」をテーマにこのところお話しています。今日はお墓のことをお話ししたいと思います。私はお墓の話しはいろいろな要素が絡みあっていて、とても奥が深い話に思えます。どれだけのことをお伝えできるか不安ですが、お話してみたいと思います。

1.お墓にはどんなものがあるのか

お墓といわれるとどんなものを思い出すでしょうか。私はお寺の境内や公園墓地にある「○○家之墓」と刻まれた墓標があって、そこに先祖の方と一緒に納骨されている墓を思い浮かべます。その家が代々受け継いでいるお墓です。多くの方がこのイメージではないでしょうか。今の世の中では、代々のお墓を守るということが徐々に難しくなってきていたり、自分らしさを求めるため代々のお墓にとらわれない自身にあったお墓を考える人も増えています。まず、お墓にはどんなものがあるのか、簡単にみておきたいと思います。

(1)家族墓
家族墓は、私がこの節の冒頭で言ったような先祖から代々引き継いできたお墓のことです。そのなかにも種類がいくつかあります。

(a)家墓  先祖から代々引き継いできたお墓で、檀家となっているお寺の境内や
       公営霊園にある場合が多いです。
(b)納骨堂 遺骨を安置する屋内施設です。お寺や自治体及び葬祭業者などが運営し
       ている場合が多いです。
(c)樹木葬 墓地埋葬法で許可を得て遺骨を埋葬したところに、墓石に代わって樹木
   墓地  を植樹します。

家族墓はこのような形式の墓を、家族が代々お世話をしていくことに特徴だと言えます。お世話をする人がいなくなると無縁墓になります。最近、「墓じまい」ということばを聞くこともあると思います。これは、無縁墓になる前に家墓から遺骨を永代供養の納骨堂などへ移して、供養の仕方を変えることです。

(2)永代供養墓(合葬墓)
永代供養墓(合葬墓)は、後継者を必要としないお墓のことです。永代供養料(言い方は宗派や施設で異なります。)や管理費を納めることで、一定期間(例えば30年)はお墓を守ってもらえる方法です。自分一人だけのお墓や夫婦一代限りのお墓にしたい場合に、選択することが増えています。ここでも、お墓の形式を簡単にみておきたいと思います。

(a)合葬墓・ 家族単位のお墓でなはなく共同で利用するお墓です。形式としては、
   共同墓  個人単位の区画に個人名の墓碑を設けるやり方や供養塔の形をとっ
        て弔うやり方などがあります。それぞれに特徴があるので、お墓の
        運営団体の考え方をよく聞いておく必要があると思います。
(b)納骨堂  形式的には家族墓と同じですが、個人として運営団体に供養をお願
        いします。
(c)樹木葬  形式的には家族墓と同じですが、個人として運営団体に供養をお願
   墓地   いします。

永代供養墓(合葬墓)は、運営団体にお墓の管理(草とりや掃除など)をお願いできるので、あとの心配が少ないと言えます。一方では、家族の結束や一族のつながりのような精神的な問題との兼ね合いが難しいと私は思っています。

(3)そのほかの供養方法
散骨などの自然葬を思い浮かべる方が多いと思いますが、その他にもあります。一部をご紹介します。

(a)散骨   火葬後の遺骨を粉末状にして、海・湖・河川・山林などに撒いて、水中
        のミネラルや土となり自然に帰る形で弔います。
(b)手元供養 遺骨の一部を手元(自室内など)において供養します。散骨と関連しま
        すが、散骨した方の遺骨の一部を小さなモニュメントやアクセサリーの
        一部にして、常に近くで寄り添うことができます。
(c)サイバー インターネット上に設けたお墓を設けて、そこにアクセスすることでお墓
   ストーン 参りをして供養します。

これらの特徴は、個人の意思が一番大きく反映されることだと思います。その供養の形が決まると後々のひとへの負担は少ないものになるでしょう。

2.自分の考えを整理する

簡単にお墓の形式を見てみました。お墓は旧来の考え方であれば「代々の墓に入っていく」ことがごく自然に考えられていました。現代では、自分らしい生涯の終着点としてお墓の形を意識する人も増えています。また、後継者がいない場合や生涯独身の場合は、墓守がいないことが理由となって旧来のお墓の形式を見直すことになっています。一度、ゼロベースで人生の終着点にあるモニュメントとして、自分にふさわしいお墓の形を考えてみても良いのではないでしょうか。以前にもお話しましたが、エンディングノートを作って自らを振り返るのも良いかも知れません。自分のこれまでのことや遺し伝えていきたいことなども含めて、いろいろ考えてみてください。自分にふさわしいお墓の形が見えてくるのではないでしょうか。結論がどんなものであれ、考えてみる道筋が大切だと思います。昔はそれ自体をしていなかったか、やりたくてもできなかったのですから、今を生きている私たちは、少し幸せなのかも知れません。

3.家族と話してみる

お墓の問題を家族でそれなりの真剣さをもってお話したことはあるでしょうか。死ぬ前にお墓の話しはするものではないとおっしゃる方もいらっしゃいますし、言いづらい面もあるのでなかなかできないでいる方も多いのではないでしょうか。私自身もなかなかできていないのが実態です。話をするときは何か資料があった方がいいでしょう。新聞の折り込み広告・インターネットのホームページ・公営墓地の募集広告など、かかわりのあるものを引合に出して一度は話してみたほうがよいでしょう。一度の話で結論のつく問題ではないと思います。最初は、自分がどう供養されたいか、また、供養する側はどう供養したいかを率直に話した方がいいと個人的には思います。いきなり、お金の話や人間関係の話から入ってしまうと本音は話せないと思います。きっかけは難しいですが、価値のある話ができると思います。

3.結び

お墓の話を人とすると、その人の生死観のようなものが見えてくるような気がします。ひとの考えは尊重しないといけないというのが、人生のエンディングにまつわるお話の大前提にあると、私は思います。自分の考え方と合わないからと言って完全に相手を否定したり非難したりしないことが大切だと私は思います。

本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

(参考文献)
民法Ⅳ補訂版 親族・相続 内田貴 2004年 東京大学出版会
終活の教科書 クラブツーリズム編 2013年 辰巳出版株式会社
相続の諸手続きと届出がすべてわかる本 弁護士河原崎弘監修 2016年 成美堂出版 

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