人生のエンディングを考える(その6)-自分自身の身の回りのこと(その2)-


 「人生のエンディングを考える」をテーマにこのところお話しています。前回から自分自身の身の回りのことをテーマにお話ししています。今日は、契約関係や自分の持ち物の整理についてお話ししたいと思います。

1.自分の契約関係を整理する

 前回は、自分自身の契約関係を振り返るときどんな要素があるかを列挙してみました。今日は、仮に自分自身が死亡した場合、その後の手続がどのようになるかを少しみてみたいと思います。

(1)各種利用の契約(公共料金など)
 これには、電気・ガス・水道・電話・NHKなどの公共料金がありますが、契約した名義人が死亡した場合は、つぎの2つの対応があります。

(a)解約
親族または代理人が契約を解除する手続きをとり利用を終了する。ただし、未納の料金がある場合はその料金は支払う必要があります。

(b)名義変更
契約の名義人を同居する親族などに変更して、引き続き利用する。この場合、新たな名義人と死亡者との関係を示す資料の提示が必要となる場合があります。特に電話は、財産性があるため戸籍の提示など厳格な方式がとられています。

 死亡者の口座から料金を引き落としている場合、預金口座を凍結すると未払いの状態になってしまいます。引落口座を変更などの措置が必要です。また、機材をレンタルしている場合、機材の返却が必要なる場合があります。その場合の手続や費用なども考慮しておく必要があります。

(2)金融関係の契約
 クレジットカードやカードローンの場合は、名義人が死亡すると退会となり会員資格を喪失します。ただ、退会の手続は必要ですので、相続人か代理人が退会の手続を行います。その際、未払いの代金や返済がある場合は債務が消滅しませんので、引落口座を凍結すると返済できなくなるため、引落口座を変更するなどの必要が生じます。債務の返済方法はカード会社と相談する必要があります。また、利用に応じて付与されたポイントは退会することで失効します。相続人が引き継ぐことはできません。そして、個別のローン契約では、債務は相続人に引き継がれます。契約毎に契約先と返済について相談する必要があります。

(3)金銭的な権利
(a)航空会社のマイレージ
 航空会社のマイレージは、相続人が引き継ぐことができます。相続人であることを示す書類を提示して切換えをおこなうと、マイレージは相続人に引き継がれます。(航空会社により対応の異なる点もありますので、行う場合は各航空会社に確認してください。)

(b)各種ポイントカード
 買い物などの際に付与される各種のポイントですが、運営会社が行っているものと各店舗や施設が独自に行っているものがあります。ここでは、運営会社が行っているものを取り上げます。ポイントカードの場合も、会員の死亡は退会理由となるため退会になります。クレジット機能が付いているカードでは退会手続きも必要です。ポイントは退会をもって失効するので、相続人が引き継ぐことはできません。

(c)スポーツクラブの会員
 一般的な預託金や保証金を必要としないスポーツクラブの場合は、会員の死亡は退会理由となりますので、退会手続きを行い未払いの会費などがあればその精算方法をクラブ側と決めて精算します。(クラブごとに対応が異なる点もありますので、行う場合は各クラブに確認してください。)

(c)ゴルフ会員権
 ゴルフ会員権は、相続財産としばしば話題になります。預託金や保証金の裏付けがあり、ゴルフ場毎に評価額も存在しています。ゴルフ会員権は相続人が名義の書換えを行い引き続き保有することができます。また、相続後に売却することもできます。

(4)個人との約束
 個人的な約束などは文書が残っていないと、死亡後に相手方から主張されても確かめようがなく相続人が困ってしまいます。重要な約束事は、書面で残すか遺言書に記載し、対応方法を示すことが必要だと思います。ただ、個人間の約束事は、一身専属で死亡により失効するものもありますから、相続人は相手方が主張する内容を見極めて対処していくべきでしょう。

(5)組織との約束
 任意団体の会員や役員などは、死亡が退会理由や退任理由になる場合が多いですが、各団体に通知しないと団体側では把握できません。相続人が各団体に連絡することが必要でしょう。その時は、履行すべき義務がないことを確認することや、会員資格を世襲するかしないかの意思表示も必要な場合があります。そして、拠出した財産があれば、払い戻しなどの手続を行う必要もあります。

2.遺品について

 相続人は遺品の整理に苦慮する場合も多いようです。生きているうちに整理して、残ったものの扱いについて遺言書で残すべきでしょうか。やり方はいろいろだとは思います。生きているうちに仕分けして、捨てるものは捨てるようことにしようかと私は思っています。書籍は寄付もできます。趣味関係のものは後輩などに譲ることもできるでしょう。古い衣服は捨ててしまうか古着屋に売ることもできるでしょう.写真やビデオは、家族とアルバムを眺めて思い出を振りかえって、大切なものを決めて残すといったこともできます。生前に自身で「いるもの」と「いらないもの」をはっきりさせて、残ったものを相続人に託し、後の扱いを決めてもらえばいいのではないでしょうか。私のような単身者の場合は、処分方法を死後の整理をお願いする人と死後委任契約の形で残すことになってきます。

4.結び

 今日は、この文書を書いていて、他の人との関係の整理がたくさんあると今更に思いました。契約によるつながりが多くなりすぎたのではないかという疑問が湧いたりもします。ともあれ、放置することのできない人との関係もありますから、一度考えておいた方がいいと私は思っています。

 本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

(参考文献)
民法Ⅳ補訂版 親族・相続 内田貴 2004年 東京大学出版会
法律学小辞典第4版補訂版 2008年 有斐閣
終活の教科書 クラブツーリズム編 2013年 辰巳出版株式会社
相続の諸手続きと届出がすべてわかる本 弁護士河原崎弘監修 2016年 成美堂出版 

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