人生のエンディングを考える(その2)遺言について (その1)


 みなさんこんにちは、今日は遺言についてお話ししたいと思います。遺言は亡くなった方の最後の意思を、後を引き継ぐ人たちに託すものです。亡くなった方が残した有形・無形のものについて、誰にどのように託すかが綴られています。遺言は、具体的には遺言書という書面の形で残されます。後を引き継ぐ人たちは、遺言書の内容を亡くなった方の意思とし、その内容に従い相続することになります。遺言書は、終活のまとめとして書かれるものという考えが広まっています。終活を考えている方にとっては、終活の最終まとめとしての遺言書をまず最初にみておくのも良いのではないでしょうか。

1. まず遺言とは

 「遺言」は、一般的には「ゆいごん」と読み、法律的には「いごん」と読みます。一般的な意味で使われる「ゆいごん」は、広辞苑第6版によると「死後のために物事を言い遺すこと」となっています。これは、友人や家族への感謝の言葉や自身の後悔の念の吐露など個人の精神面のことについてなども含まれるでしょう。このような言葉を残すことは、後を引き継ぐ方にとっては、心に残るものになり故人の思い出が心に刻まれるものになるでしょう。

 一方、法律用語である「いごん」は、「遺言者の死後の法律関係を定める最終の意思表示であって、その者の死亡により法律効果を発生する。」(法律学小辞典第4版(有斐閣)より)となっています。これは、民法に規定する財産や家族に関して、亡くなった方の最終の意思表示に従い、相続や遺贈などを行うことになるからです。ここでは、遺言(いごん)についてみて行こうと思います。

2.遺言で伝えられること

 遺言(いごん)には、自らがこれまで形成してきた財産や家族のことについて、自分の死後にどうして欲しいのかを示す意思表示です。遺言にはできるだけ自分の意思を反映させたいところですが、後を引き継ぐ方たちの無用の混乱を生じさせることもできません。そこで、民法は遺言できる事項を法定しています。その内容はつぎのとおりです。(細部は細かい規定と判例があります。)

(1)遺産の相続について
   相続人の指定(相続させる人・相続させない人の指定)
   相続分の指定
   遺産分割方法の指定
   生前に贈与した分の取り扱いについて(特別受益者について)
   遺留分減殺方法の定め
(2)相続以外の財産処分
   遺贈(相続人以外の方への贈与)
   財団法人の設立のための寄付(その他寄付行為)
   信託の設定
(3)身分に関する事項
   認知
   未成年後見人・未成年後見監督人の指定
(4)遺言執行者(遺言に従い手続き等をする人)の指定

これらの事項が、民法上は意味を持ってきます。これらのこと以外のことを遺言することを禁じている訳ではありませんが、法律上の問題となるときは、民法は私人の財産と家族関係に関する法律ですから、これらの事項を中心に整理されていきます。また、遺言にこれらをすべて網羅する必要が有る訳ではありません。これから終活を始めてみようとお考えの方は、ご自身の身の回りを整理するとき、このような点も考慮に入れてはどうでしょうか。

2.だれに承継してもらうのか

遺言は、自分の形成したものを、誰にどのような形で引き継いでもらうかを示すものです。遺言の内容のとして重要なことは、誰に引き継いでもらうかです。そこでもととなるのが法定相続です。法定相続人の対象は、図1の相続人の範囲のとおりです。第1順位から順に該当者を確定することになり、確定したときそれ以下の順位の方は相続分がありません。(家族関係により様々な事例や判例があります。)

 自身の今までの生活を振り返ることと引き継いでもらう人のことを考えて、引き継ぐ人を決めることになると思います。遺言では法定相続の規定にない形で、引き継ぐ人を決めても差し支えはありません。相続させたくない人の廃除や、相続人でない人に財産を遺贈すること、団体への寄付も可能です。遺言をする方自身が最も良いと思う形をまず考えてみることが大切です。そこから、様々な事情を考慮していけば良いでしょう。だだし、兄弟姉妹を除く法定相続人には、遺留分減殺請求権という自己の相続分を確保する権利が認められていますので、法定相続人の利益の保護は図られています。亡くなった方の意思と法定相続人の利害の問題は、よく検討することが必要です。

3.承継してもらうものについて

 遺言で承継してもらうものは、自身が形成した財産が中心になるでしょう。不動産・預貯金・有価証券・その他金融財産・書画・骨董・書籍など多様です。また、写真やビデオなどの画像、書簡類、衣服や家財道具なども含めて見直していくことが必要でしょう。そして、借財(債務)についても、履行が終わっていないものがないか整理しましょう。

また、認知していなかった子供の認知や未成年の子に対する後見人の指定など、家族関係について伝えるべきことがないかも一度整理してみてはどうでしょうか。

4.結び

 今日は遺言についての1回目ということで、遺言の定義や遺言の範囲についてお話ししました。次回は、遺言書を中心にお話ししたいと思います。

 本日も最後までご覧いただきありがとうございました。

(参考文献)
民法Ⅳ補訂版 親族・相続 内田貴 2004年 東京大学出版会
広辞苑第6版 2008年 岩波書店
法律学小辞典第4版補訂版 2008年 有斐閣
終活の教科書 クラブツーリズム編 2013年 辰巳出版株式会社

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