就労系の在留資格(その3)


 みなさんこんにちは、今日も外国人の方の在留資格(ビザ)についてお話ししたいと思います。前回に続き。今回は就労可能なビザのうち、就労内容に制限があるグループから「技能」を取り上げてみたいと思います。
 
1.「技能」について
 
 まず、「技能」の在留資格(ビザ)の内容についてみてみましょう。入国管理局のパンフレットである「出入国管理(2017)」では、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」と説明されています。この説明のなかで、「産業上の特殊な分野」とは、産業の基盤が外国にあり日本よりも外国の方が技能の水準が高い産業分野及び日本で従事する技能者が少数である産業分野を意味していると考えてよいでしょう。「熟練した技能を要する」とは、個人が自己の経験の集積によって有することになった熟練の域にある技能を意味します。この点は技能や判断要さず機械的な作業となる単純労働とは異なります。
「技能」の在留資格(ビザ)に該当する業務は基準省令に第1号から第9号まで規定されています。第1号から第9号に該当しないと「技能」の在留資格(ビザ)は許可されません。第1号から第9号はつぎのとおりです
・第1号    調理師
・第2号    建築技術者
・第3号    外国特有製品の製造・修理
・第4号    宝石・貴金属・毛皮加工
・第5号    動物の調教
・第6号    石油・地熱等掘削調査
・第7号    航空機操縦士(パイロット)
・第8号    スポーツ指導者
・第9号    ワイン鑑定(ソムリエ)等
 
2.「技能」の在留資格(ビザ)の要件について
 
 「技能」の在留資格(ビザ)の場合は、日本に上陸する時点で在留資格(ビザ)の要件を満たしていることが必要ですので、新たに在留資格(ビザ)を取得する在留資格認定証明書交付申請での申請が多くなります。要件は第1号から第9号までそれぞれに具体的な規定がありますが、ここでは、全体的にとらえて問題となる点についてお話ししたいと思います。
 
(1)実務経験
 「技能」の在留資格(ビザ)を申請するうえで問題となるのは、実務経験(その技能に係る専攻の科目を履修した教育機関の年数も含む)についてです。これは、「技能」の在留資格(ビザ)は、外国特有の産業分野に係る熟練した技能を有する者に認める在留資格(ビザ)ですので、実務経験はすべて日本国外で実務経験を指しています。実務経験を10年以上としている場合は、10年以上日本国外で実務に携わったことが必要です。従って、調理師の場合では日本の調理師学校に2年間通学していてもそれは実務経験の期間とはみなされません。申請では、10年の期間を示す在職の事実を示す資料や勤務先の実在を示す資料を揃えて申請します。
 
(2)「技能」の内容
 「技能」の在留資格(ビザ)は、外国特有の産業分野に係る熟練した技能を有する者に認める在留資格(ビザ)ですので、申請人が修得した技能が外国の文化などの基づいたものであるか、日本より外国に優れた技能的基盤があるような技能、もしくは、日本に当該技能の保有者が少ないなどの要件があります。例えば、第2号の建築技術者では、ゴシック様式、ロマネスク様式、中国式など日本国外に技術的基盤のある建築様式の建築または土木の技能を有した者が対象になってきます。また、スポーツ指導者は、国際的な競技会への出場の経験などが求められ一流の国際的指導者であることが要求されています。
 
(3)就労の環境
 「技能」の在留資格(ビザ)で上陸した外国人には、在留資格(ビザ)に該当する業務に専ら従事することができる職場環境があることを示す必要があります。雇用契約で就労する場合は、雇用の条件や、業務に従事する場所の状況が、「技能」の在留資格(ビザ)での業務が行える環境であることが必要です。この点は、「技術・人文知識・国際業務」と同じといえるでしょう。
 
3.結び
 
今回は、「技能」の在留資格(ビザ)を取り上げてみました。この在留資格には様々な職業が該当していますが、日本国外での十分な経験と実績及び国内での該当者の希少性や海外固有の文化に基づくものなどを条件としており、国の慎重な姿勢が伺えます。また、グローバル化している現在の状況を考えると、出身国以外の第三国で修得した技能を持っている場合には、不利な現実があるようにも感じています。
 
 本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
 
(参考文献)
「出入国管理」パンフレット(2017)          2017年    法務省入国管理局
出入国管理法令集(改訂第19版)           201612月  公益財団法人 入管協会
よくわかる入管手続 第5版             20177月  佐野秀雄 佐野誠 共著 日本加除出版
詳説 入管法の実務 新版              201710月  山脇康嗣著 新日本法規出版
ひと目でわかる外国人の入国・在留案内 15訂版 20162月   出入国管理法令研究会編 日本加除出版

 

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