就労系の在留資格(その1)


 

   みなさんこんにちは、今日も外国人の方の在留資格(ビザ)についてお話ししたいと思います。前回は在留資格(ビザ)の区分を、就労をキーワードにして整理しました。今回からは、在留資格(ビザ)のうち主要なものを個別にみていきたいと思います。今回は就労可能なビザのうち、就労内容に制限があるグループから取り上げてみたいと思います。
 前回の投稿で使用した資料2を見てみましょう。今日取上げるグループには19の在留資格が該当します。そのなかから該当する人数が多く、入国管理局への申請を個人単位で行うことが多い「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「技能」そして「家族滞在」を取り上げたいと思います。
 
1.「技術・人文知識・国際業務」について
 
日本国内でサラリーマンとして仕事をしている方の多くが、この在留資格(ビザ)で在留許可を受けていると思います。入国管理局の統計では、201612月末時点で約161,000人の方がこの在留資格(ビザ)で日本に滞在しています。これは、201512月末より約24,000人増加しています。グローバル化と人手不足の進行から、今後ともさらに増加すると思います。
 
(1)「技術・人文知識・国際業務」に該当するケース
 「技術・人文知識・国際業務」は、法務省の説明を要約すると「理工学又は人文社会科学若しくは外国語等の技術や知識を用いて、日本国内の公私の機関と契約に基づいて行う活動」ということができます。簡単に言うと、企業団体でサラリーマンとして給料を得て仕事をすることや、フリーランスでエンジニアや通訳・翻訳の仕事をして報酬を得る活動が該当すると考えてよいでしょう。
 
(2)「技術・人文知識・国際業務」の要件
 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)を認められる外国人の方は、どのような要件を満たすと、在留資格(ビザ)が認められるのでしょうか。法務省の基準を整理するとつぎのようになります。
 ① 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務(仕事)に従事する場合は、
   次の(a)及び(b)の両方に 該当する。
  (a) 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、
    商品開発そ  の他これらに類似する業務に従事すること。
  (b) 従事しようとする業務(仕事)に関連する業務(仕事)について3年以上の実務経験があること。
    ただし、大学 を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、3年以上の
    実務経験は必要としない。
 ② 法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示もって定める
   情報処理技  術に関する資格を有すること。
  (参照URLhttp://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_hourei_h09.html
   ③ ①及び②以外の業務(仕事)に従事する場合は、次の(a),(b),(c)のいずれかに該当して必要な技術又は
   知識を習得  していること。
       (a) 業務に該当する技術又は知識に関連する科目を専攻して大学(大学院)を卒業し、又はこれと
    同等以上の教育を受けたこと
       (b) 業務に該当する技術又は知識に関連する科目を専攻して日本国内の専修学校の専門課程を修了
    したこと(修了  については法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る)
             (筆者注:専門士の称号を得ていることが必要と考えてよい)
      (c) 10年以上の実務経験を有すること。(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程
    又は専修学校 の専門課程での当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む)
 ④ 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
 長くなりましたが、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)の要件です。考え方としては、申請する方の学業や実務での経験が、日本でこれから従事しようとする業務(仕事)の内容と合致しているかを考えます。①から③のどれに該当するのか考えてみてくだい。該当するものがあれば、その要件をもとにします。④はどの要件でも共通です。雇用する事業主(発注主)は日本国内で仕事する対価として日本人と変わらない相応の報酬を支払わなくてはなりません。
 
2.「技術・人文知識・国際業務」在留資格(ビザ)の申請について
 
(1)在留資格(ビザ)の申請が必要なケース
 ではどのような場合に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)を申請する必要があるでしょうか。代表的な例を紹介したいと思います。
 ① 日本の会社が、外国の大学の卒業者を採用して、日本で雇用する場合。
 ② 日本の会社が、外国の会社に勤務していた外国人を中途採用して、日本で雇用する場合。
 ③ 在留資格(ビザ)が「留学」で、日本の大学や専門学校を卒業見込みの外国人を、新卒者として
   採用し雇用する場合。
 ④ 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)以外の在留資格(ビザ)の外国人を中途採用
   して雇用する場 合
 ⑤ フリーのシステムエンジニア(個人事業主)と契約して、日本国内で自社の業務を行ってもらう場合。
 
(2)「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)の申請
 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)を申請する場合は、申請人の状況と雇用主又は業務を発注する発注者の状況の両方を説明する資料を提出して、申請人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)に適合することを証明する必要があります。申請の提出にあたっては、雇用主(発注者)となる事業主の規模などにより、カテゴリー1からカテゴリー4までの分類があります。内容は資料3のとおりです。

 

 カテゴリーによって申請時に必要な資料の内容は異なっています。申請時は入社する会社のカテゴリーを確認してから資料を準備してください。 
 基本的な資料は共通ですが、申請人と雇用主(発注者)の状況に応じて、説明を補強したほうが良い場合は、さらに追加資料を提出して説明を加えたりします。申請の提出にあたって注意するのは、法務省の基準にあるように、申請人の学歴や業務経験と雇用主(発注者)が従事させようとする業務(仕事)が、合理的に適合していることを証明できなくてはいけません。この点は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)では特に必要です。また、他の在留資格(ビザ)と共通する審査事項もありますので、そちらの証明もおろそかにはできません。

 

(補足) 別な在留資格(ビザ)に「高度専門職」があります。これは、高度人材ポイントという評価基準があり、基準を満たした高度な学術、技術、知識を備えた外国人に付与する在留資格(ビザ)です。可能性のある方は、一度高度人材ポイントをチェックしてみたほうが良いでしょう。
 
3.結び
 
少々長くなりましたが、今回は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)を取り上げてみました。記事を書くにあたり法務省の資料を読み直しましたが、わかりづらかったです。わかりやすく説明するようにはしてみましたが、誤解があるといけないので、あまり簡単な表現になっていないかもしれません。その点はご容赦をいただければと思います。次回は、「経営・管理」の在留資格(ビザ)を取り上げてみたいと思います。
 
 本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
 
(参考文献)
「出入国管理」パンフレット(2017)          2017年    法務省入国管理局
出入国管理法令集(改訂第19版)           201612月  公益財団法人 入管協会
よくわかる入管手続 第5版             20177月  佐野秀雄 佐野誠 共著 日本加除出版
詳説 入管法の実務 新版              201710月  山脇康嗣著 新日本法規出版
ひと目でわかる外国人の入国・在留案内 15訂版 20162月   出入国管理法令研究会編 日本加除出版

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