生産緑地について


 みなさんこんにちは、投稿が予定より1日遅くなりました。申し訳ありません。
12回目の投稿になります。今日もよろしくお願いします。今日は農業と農地の話の7回目です。今回は、生産緑地について取り上げたいと思います。 

1.生産緑地とは

(1)生産緑地の経緯
 みなさんは生産緑地という言葉をあまり聞いたことがないと思います。生産緑地は、市街化区域内にある農地で一定条件を満たす農地を、三大都市圏にある特定市(政令で指定されます。)が都市計画に基づき指定した農地のことを指しています。
 もともと市街化区域は、計画的に居住や商工業の環境及び公共施設が順次整備されていく区域とされています。市街化区域の中にある農地は、順次、この目的に沿って転用されていくことが、予定されていました。従って、これまで見てきたように、農地法での市街化区域農地の転用の取り扱いは届出で足りることになっています。しかし、市街化区域内にある農地も、農地として維持していくことが、災害時の避難場所・将来の公共施設の予定地など、都市のなかの空き空間(オープンスペース)になっていることや、良好な生活環境の維持に寄与する点もあるなど、一定の意義を見出すこともできます。そこで見直しが行われ、市街化区域内の農地を、宅地化する農地と保全する農地に区分しました。さらに、保全する農地は、市街化調整区域への編入と生産緑地地区の指定という2つの方法で、農地を保全する政策がとられました。これを規定する法律として生産緑地法が昭和49年に制定されました。現在の生産緑地制度は、平成3年(1991年)の法改正をもとに実施されています。

(2)生産緑地の指定
 生産緑地地区の指定ができるのは、都市計画法第7条に規定する区域となっており、具体的には三大都市圏の市が該当します(私の事務所が所在する神奈川県平塚市も該当しています。)。平成28年度の国土交通省の調査では、神奈川県の全ての市で生産緑地地区が指定されています。しかし、生産緑地地区内のすべての農地が生産緑地となる訳ではなく、つぎの要件に該当する農地が、生産緑地の指定を受けます。

 ① 生活環境機能及び公共施設の用に供する土地として適していること
 ② 面積が一団で500㎡以上の農地等であること
 ③ 農業の継続が可能であること

これら要件を満たす農地の地権者(所有者)の同意を得て、市が生産緑地の指定を行います。指定を受けた農地は、建築物の新築・増築・改築と宅地造成や土砂の採取その他の土地の形質変更ができなくなります。これに違反する生産緑地の指定が解除されます。
 生産緑地の指定を受けると、その土地では農業以外のことができなくなります。生産緑地の指定期間は30年間とされています。この間は税制上の優遇措置などが設けられています。生産緑地の指定は1992年(平成4年)に行われたものがほとんどですので、2022年には指定期間の30年が経過します。30年が経過した場合、都市計画の生産緑地地区の指定が解除され、税制上の優遇がなくなるなど、取り扱いは宅地化する農地と同様となります。また、生産緑地法では自治体の買取制度を規定していますが、自治体側の事業計画や財政事情などを考えると、ほとんど買取が行われる可能性はないと言っていいでしょう。

 (注)生産緑地は農地だけでなく、水産業・林業の用に供する土地も対象としています。この記事では、説明の都合から農業を対象にした形で説明しています。

 2.生産緑地法の改正

 平成29年(2017年)に、2022年の指定期限の到来を見据え、都市計画における生産緑地の継続的な機能の維持と生産緑地で農業を行う所有者等の制度利用上の利便性を高めるため、生産緑地法の改正が行われました。改正点の概要はつぎのとおりです。

(1)条件の緩和
 ① 指定条件
 ・従来は500㎡以上のまとまった土地であることが条件でしたが、政令で300㎡以上に緩和されました。
   ② 利用条件
 ・農産物直売所を開設できるようになりました。(自家で栽培製造した産品の販売が原則です。)
 ・農家レストランを開設できるようになりました。
             (自家で栽培製造した産品を主な材料とした料理・デザート・菓子・  飲料の提供ができます。)
  * これらは自治体の許可が必要です。

(2)特定生産緑地の指定
指定より30年を経過した生産緑地について、都市計画に基づく安定的な保全を図るため、継続して生産緑地として維持すべき農地は、特定生産緑地の指定を行い従前からの生産緑地としての機能を維持するようにします。指定期間は10年とし所有者等の営農継続の見直し機会を設けて、指定を継続する場合は、再度10年の指定をします。(実質更新制といっていいでしょう。)

 3.結び

 生産緑地法の改正で制度が変わり、生産緑地の所有者にとってメリットのある改正が行われていますが、日本の農業での最大の課題は後継者の問題です。後継者がいないと農業経営の継続はできなくなり、生産緑地の指定は解除されます。所有者等にとっては税制上の問題を中心に解決するべき課題が多数発生します。所有者等は解決策の枠組みが整ってからでないと、生産緑地指定の解除は受け入れ難いと思います。2022年に向かって自治体がどのように対応するかが課題だと思います。

 生産緑地の話題で、一旦、農業と農地に関するテーマは終了したいと思います。つぎのテーマをどうするかは、まだ検討中なので次回の投稿までお待ちいただければと思います。
 
 本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
 
(参考文献)
農地法読本三訂版            宮崎直己著 20166月 大成出版社
農地法の解説改訂二版          201611月 全国農業委員会ネットワーク機構 (一社)全国農業会議所
新・よくわかる農地の法律手続き改訂三版 201611月 全国農業委員会ネットワーク機構 (一社)全国農業会議所
農地転用許可制度の手引 改訂6版    20167月 全国農業委員会ネットワーク機構 (一社)全国農業会議所
新しい都市緑地・農地・公園の活用Q&A 201712月 都市緑地法制研究会編 ぎょうせい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です