農地と農業従事者などについて


 みなさんこんにちは、7回目の投稿になります。今日もよろしくお願いします。今日は農業と農地の話の2回目です。今日は、農地法に定義されている「農地」「世帯員等」「農地所有適格法人」を中心に進めたいと思います。農地法では第2条にこれらの定義を規定しています。農地法をみていくうえでは基本的な用語になります。まず、第2条の条文を以下に示しておきます。 

第2条 この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。2 この法律で「世帯員等」とは、住居及び生計を一にする親族(次に掲げる事由により一時的に住居又は生計を異にしている親族を含む。)並びに当該親族の行う耕作又は養畜の事業に従事するその他の二親等内の親族をいう。
一 疾病又は負傷による療養
二 就学
三 公選による公職への就任
四 その他農林水産省令で定める事由
3 この法律で「農地所有適格法人」とは、農事組合法人、株式会社(公開会社(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第五号に規定する公開会社をいう。)でないものに限る。以下同じ。)又は持分会社(同法第五百七十五条第一項に規定する持分会社をいう。以下同じ。)で、次に掲げる要件の全てを満たしているものをいう。(以下略)
4 前項第二号ホに規定する常時従事者であるかどうかを判定すべき基準は、農林水産省令で定める。
 
1.農地
  第1項では、農地法の規制対象である農地の定義をしています。農地法の規制の対象になっている土地は、農地と採草放牧地ということになります。この定義に該当しない土地は、規制の対象から外れます。
(1)農地
 農地は条文では「耕作の目的に供される土地」となっています。ここでいう「耕作」は、土地に人・物・金を投入して、土地を作物が栽培できるようにして、それを維持管理することだと言っていいと思います。このようにして、作物を育てるよう維持管理された土地を農地と扱います。
(2)採草放牧地
採草放牧地は条文では、「農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう」となっています。「耕作又は養畜の事業のための採草」とは、農地の堆肥や家畜の飼料又は敷料(敷き藁など)に使う採草になります。「家畜の放牧の目的」は、まさにそのとおりです。要点としては、営利非営利に関係なく、これらのことを反復継続的に行っているかということと、「主として」これらの用途に供されているかということになります。河川敷や公園などで、採草できても主たる目的が異なる土地は採草放牧地と扱われません。
(3)現況主義
 農地や採草放牧地に該当するかどうかは、登記簿(登記記録)上の地目ではなく、現にその土地が、耕作や採草放牧に供されているかどうかによって判断されます。現にというところが問題になりますが、休耕地や一時的に耕作できない状況で耕作への復帰が可能な土地は、過去の裁判例では農地として扱われています。
(4)農用地
 農業振興地域の整備に関する法律や農業経営基盤強化推進法などでは、農地に類似する用語として「農用地」という用語を使用します。これは、農地法の「農地」と「採草放牧地」の両方を意味しています。土地改良法の「農用地」はまた意味が異なります。めんどうくさいですね。
 
3.世帯員等
 
 農地法が想定している農業経営のモデルは家族経営で、世帯主を中心に同居する家族が農地を耕作する姿を想定してきました。そのため、世帯員は同居の親族が基本となっていました。しかし、家族の姿は変化しており、耕作を行う親族でも同居していないケースも珍しくない時代になっています。そこで、農地法は、同居でない二親等以内の耕作している親族も世帯員等として扱うようになりました。
 ではなぜ、世帯員等が問題になるのでしょうか、これは、農地法3条以降に規定される、農地の譲渡・農地の転用・農地の転用目的での譲渡などを行うとき、その取引の主体が世帯員等かそれ以外かが、要件や効果を判断するうえで大きな変化点になるからです。このことは、農地法の趣旨を反映させるうえで重要といえるでしょう。
 
(参考)
農地台帳(農家台帳)
市区町村の農業委員会には、農家と農地の状況について農家単位に名寄せした、農地台帳(農家台帳)が整備されています。そこには、世帯員の構成や農地・採草放牧地の状況及び保有農業用設備(トラクタ・コンバイン)などがまとめられています。農地に関する情報は、平成27年(2015年)4月より、インターネット上で農地関する部分の公開が始まり、農地の有効利用のための情報提供が開始されています。世帯に関する情報は、農地法3条以降の譲渡・転用に関する要件審査や農業委員選挙などの際に、農業委員会内で使用されます。
 
4.農地所有適格法人
 
 自作農家による経営を前提に農業政策は行われてきました。しかし、農業の後継者不足や国際競争に対する競争力の育成など、様々な問題に直面してきました。その対策の一つとして、法人についても耕作者としての地位を認め、農地について所有権やその他の使用収益権(永小作権・地上権・賃借権・使用貸借権など)を認め、農地法その他の法律が定める要件を満たした法人を「農地所有適格法人」としました。農地所有適格法人に求められるのは、農業を維持継続して農業を振興すること、及び個人経営の農家との調和にあります。
 農地所有適格法人となれるのは、農事組合法人と株式会社及び持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)です。そのなかで、さらに農業を維持継続するうえで必要な要件が課されています。

 ① 主たる事業が農業であること
(農業と一次的な関連を持ち、農業生産の安定・発展に役立つ事業も含む)
 ② 株主総会や社員総会等の法人の意思決定の議決権の過半数をつぎの者が占めること
   ・農地の所有権を法人に移転するか、又は賃借権などの使用収益権を当該法人に提供した者
   ・農業に常時従事する者
   ・法人に農作業を委託する者
   ・法人に現物出資した農地中間管理機構
   ・地方公共団体、農業協同組合又は農業組合連合会
(株式会社にあっては、株式の譲渡制限があること)
 ③ 経営責任者(株式会社の取締役、持分会社の業務執行社員)の過半数がその法人の農業に常時従事する者等であること

 また、農地所有適格法人は農業委員会へ経営状況などを報告する必要があります。また、農業委員会は、農地所有適格法人が要件を欠くおそれのある場合は、必要な措置を講ずることができるとされています。
 
4.結び
 
 今回は、農地と世帯員及び農地所有適格法人について、お話ししました。農地法を考えるうえでの基本事項は、お話しできました。次回からは、農地の権利異動などについてお話ししたいと思います。
 
 本日も最後までご覧いただきありがとうございました。
 

(参考文献)
農地法読本三訂版            宮崎直己著 20166月 大成出版社
農地法の解説改訂二版          201611月 全国農業委員会ネットワーク機構 (一社)全国農業会議所
新・よくわかる農地の法律手続き改訂三版 201611月 全国農業委員会ネットワーク機構 (一社)全国農業会議所
 

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