宅地建物取引業の免許交付と更新


 みなさんこんにちは、5回目の投稿になります。今日も前回に引き続き、宅地建物取引業を取り上げていきます。前回は宅地建物取引業の免許申請についてお話ししました。今回は、実際の宅地建物取引業の免許交付と更新についてお話ししたいと思います。都道府県の窓口に宅地建物取引業免許の申請を行うと、30日から40日程度で審査結果の通知があります。免許の許可の通知(通知ハガキ)があれば、実際の業務開始に向けての手続きを行うことになります。 

1.営業保証のための制度

  免許を受け宅地建物取引業者となる者が、先ず行わなくてはならいのは、消費者保護のための制度に加入することです。かつては、宅地建物取引業者の責任となる理由で、消費者に損害を与える事故が多発して、大きな問題となりました。宅地建物取引業法はその対策として、昭和32年(1957年)の法改正で、「営業保証金制度」を設けて宅地建物取引業者に義務付けました。また、昭和47年(1972年)の法改正で「宅地建物取引業保証協会の制度」を設けて集団保証の制度を設けました。宅地建物取引業免許の通知を受けた者は、「営業保証金制度」または「宅地建物取引業保証協会の制度」のいずれかの制度に加入することが、免許証交付の要件になっています。

 1.1 営業保証金制度

  営業保証金制度は、消費者が宅地建物取引業者との取引で発生した債権を担保するための制度です。具体的には、免許をうけた宅地建物取引業者は、本店所在地に最寄りの供託所へ定められた金額の供託金を供託します。消費者が取引上の損害を被り、宅地建物取引業者が弁済できない場合は、供託した供託金から損害額が支払われる仕組みです。現在の供託金は、本店が1000万円、支店等が1か所につき500万円です。(供託金から支払われるかどうかは、個々の事案ごとに審査されます。)

 手続きには、供託金、免許通知ハガキ、供託書、資格証明書(会社の履歴事項全部証明書または個人の戸籍全部事項証明書)などが必要です。供託所は各地の法務局の本局・支局に設置されています。(供託の詳しい内容は、各地の法務局に確認してください。)供託金の供託手続きの後は、営業保証金供託済届出書を作成し、免許通知ハガキ、供託書の原本と写し1通とともに、都道府県の窓口に提出します。ここまでの手続きを、免許日(免許通知ハガキに記載)から3ケ月以内に行います。

 1.2 宅地建物取引業保証協会の制度

  宅地建物取引業保証協会(以下、保証協会とします。)は、集団保証による消費者の保護と宅地建物取引業者の負担の軽減をはかることを目的とした制度になっています。保証協会の業務は、弁済業務だけでなく苦情処理・研修・一般保証業務・手付金等保管なども行っており、宅地建物取引業の健全な発展を図るための業務を行う機関です。機関の指定は、国土交通大臣により行われます。保証協会では、加入した宅地建物取引業者の納付する分担金を集約して弁済業務保証金として法務大臣及び国土交通大臣の指定する供託所に供託します。弁済保証が必要となった場合は、供託した弁済業務保証金から、保証金が支払われます。

 保証協会に加入するには、分担金を支払います。その額は、本店は60万円、支店等は1か所につき30万円となっています。また、分担金以外に、保証協会の加入金や会費等の費用も必要になります。詳細は、加入予定の各保証協会に確認してください。保証協会に加入後は、免許通知ハガキ、弁済業務保証金分担金納付書の原本と写しを、都道府県の窓口に提出して免許証の交付を受けます。保証協会の加入には2ケ月程度かかりますので、早めの手続きが必要です。

 2.宅地建物取引士の変更登録申請

  免許をうけた宅地建物取引業者の専任取引士となる宅地建物取引士は、勤務先及び免許証番号を、免許をうけた宅地建物取引業者の内容に変更する必要があります。「宅地建物取引士資格登録簿変更登録申請書」を作成して、該当する宅地建物取引士ご自身で都道府県の窓口に申請します。

 3.免許の更新

  このように、宅地建物取引業免許証の交付をうけて、ようやく業務を開始することになります。開始後も標識の掲示・帳簿の備え付け・証明書の携帯など、法令を遵守して業務を行って行きます。交付された免許の有効期間は5年となっています。免許は更新制となっていますので、引き続き宅地建物取引業を行う場合は、免許の更新を行う必要があります。免許の更新期間は、有効期限の90日前から30日前までの期間です。その期間内に更新の申請を行う必要があります。期限に遅れると免許は失効します。

 免許の更新では供託に係る部分を除いて、新規の申請と同じ書類の提出が求められます。これは、継続して業務を行っている実体があるかを確認しようとするもので、実体のない業者を排除するねらいがあります。免許の更新にあたっては、宅地建物取引の取り扱い実績と決算書の提出が必要とされます。実績が少ない場合、決算書で業績が良くない場合などは注意が必要です。また、届出が必要な事項を届出ないままにしておくと、更新の際に申請書類の作成で苦慮する場合もありますので注意が必要です。

 4.結び

  5回にわたり宅地建物取引業を取り上げました。営業に免許制をとっている業種は様々ありますが、どの業種にも共通していることは、社会的責任の大きさがあるということです。社会的責任の果たせる者に事業を行わせることで、国民の経済的な不安を解消して社会が発展することを図っているといえるでしょう。

  最後まで、ご覧いただきありがとうございました。次回からは、農地に関するテーマでお話したいと思います。

 

                 (参考文献) 宅地建物取引業法の解説(5訂版)平成223月 宅地建物取引業法令研究会編 住宅新報社刊                                                                                     宅地建物取引業免許申請の手引 平成291月 東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課                                                                       宅地建物取引業法免許申請書等の記載手引 平成274                                                                                       神奈川県県土整備局事業管理部建設業課横浜駐在事務所(宅建指導担当)

 

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