宅地建物取引業免許の許可要件


 みなさんこんにちは、3回目の投稿になります。今日も前回に引き続き、宅地建物取引業を取り上げていきます。前回は宅地建物取引業免許の制度についてお話しました。今回は、宅地建物取引業免許の許可要件をお話したいと思います。宅地建物取引業免許の交付を受けるには、どのような要件を満たさないといけないのかというお話です。グッと具体的になってきました。 

1.宅地建物取引業免許の要件の要素 

 宅地建物取引業法では、第5条で免許の基準を示しています。第5条では宅地建物取引業の免許の交付を個人と法人及び法人の役員や使用人などについての要件を示しています。しかし、施行規則で定めている申請書や添付書類では、第5条の趣旨を具体的に検証するため、申請する個人法人の経営資源(人・物・金)の状況について、具体的な資料の提出を求めています。ここでは、人・物・金という要素に分けて、宅地建物取引業免許の要件を見ていくことにします。 

2.人に関する要素 

 宅地建物取引業法では、第5条と第66条等で免許に関する要件を定めています。順次それをみていくことにします。この人に関する要件は、個人と法人及び法人の役員等や使用人など宅地建物取引業に携わる人に幅広く適用されていきます。各都道府県が配布している申請の手引きでも、冒頭に説明されている場合が多く、特に重要な事項と言ってよいでしょう。 

2.1 免許が交付されない場合(欠格要件) 

つぎの事項に該当すると、宅地建物取引業の免許は交付されません。

 (1)後見人等

 ① 成年被後見人と被保佐人及び破産者で復権を得ていない者、これは、当人の保護と取引の安全を確保するためのものです。 

(2)刑事処罰等

① 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(刑事処罰では、死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料と刑罰の種類がありますが、このうち、死刑・懲役・禁錮の刑に処せられて、刑期が満了や、仮出獄中に刑期が終了するなどしてから、5年が経過していないことを言います。一方、執行猶予は執行猶予期間が終了すると刑の言い渡しそのものがなかったことになるため、執行猶予期間が終了すると、その翌日からはこの要件には該当しなくなります。)

② 宅地建物取引業法及び暴力団対策法または刑法の傷害罪・障害助勢罪・凶器準備集合罪・脅迫罪・背任罪及び暴力行為処罰法で罰金刑に処せられ、その刑の執行が終わり、または、刑を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

③ 暴力団対策法に規定する暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

 (3)免許の取消し等

① 宅地建物取引業免許の取消し処分を受けた日から5年を経過していない者

② 宅地建物取引業免許の取消しの聴聞の期日と場所の決定から、処分をする日または処分をしないことを決定した日までの間に、廃業または解散を届出て、その届出日から5年を経過していない者(廃業や解散に相当の理由がある場合は除かれます。)

③ ②に該当するケースにおいて、合併で消滅する法人等で、廃業や解散の公示日前の60日以内に、法人等の役員等であった者がいる場合

 (4)不正行為等 

① 免許の申請前5年以内で、宅地建物取引業に関して不正または著しい不当な行為をした者

② 宅地建物取引業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者

③ 営業について成人と同一の能力がない未成年の法定代理人が、上記の①または②に該当する場合

④ 暴力団員等がその活動を支援する者

 2.2 法人個人及び使用人などについて 

 項番2.1の欠格要件は、申請人が個人法人に関係なく適用されます。また、役員(取締役・監査役・執行役・相談役・顧問等)または5%以上の株式保有者及び使用人など、実際に宅地建物取引業務を中心となって行う人に対して幅広く適用されます。これは、いわゆる黒幕的な存在の欠格者を排除していくためのものです。審査は個々の案件毎に事情に左右される可能性もあるので、一律に許可の可能性を検討するのは難しい部分です。 

2.3 専任の宅地建物取引士の配置

人に関する要件として、宅地建物の取引を適正うための、土地及び建物に関する知識、法令や税制に関する知識、取引に関する知識を有する取引従事者であることを認定する資格制度として、宅地建物取引士の制度があります。従来は、宅地建物取引主任者と呼ばれていましたが、平成27年(2015年)より制度改正がありました。宅地建物取引業を行う場合、1つの事務所ごとに、専任の宅地建物取引士を配置することが求められています。代表者が専任の宅地建物取引士を兼ねることは差し支えありません。専任とは、専ら今回申請する事業者の業務を行うことを指し、他の事業者との兼職は認められません。また、事業者の営業時間内は事務所で業務を実際に行えることが必要です。日常的に通勤が可能な場合に居住していることも必要です。

3.物に関する要素 

 申請書を提出するとき、添付書類として本店また支店などの、事務所の配置図や写真を提出します。これは、より具体的に営業の実体を把握しようとするものです。実際に宅地建物取引業を営む具体的な準備が整っているかを、具体的に確認することになります。各都道府県の申請の手引きを見ると、特に事務所の独立性には、具体的な指示があります。「自宅を事務所とするときには、事務所に独立した出入口があり、居住空間と区分されている。」「他の事務所が同じフロアにある場合は、独立した専用の出入口があり、パーテーション(高さ基準あり)などで区分されていること。」などです。また、事務机やコピー機、パソコンなど事務所としての機能があるかも確認している場合もあります。家賃や設備の費用に直結する問題ですので、申請の手引きの確認や事前相談をしておくべきところです。 

4.金に関する問題 

 申請書を提出するとき、法人は決算資料(貸借対照表・損益計算書)や納税証明書などを提出します。個人は資産に関する調書や納税証明書などを提出します。これは、資金や資産的な基盤があり、宅地建物取引業を営むことが十分にできるかを確認することになります。財務状況や資産状況が芳しくなければ、資金調達や信用上での障害が発生するおそれがあり、消費者に不測の事態を招くことも考えられます。それを防止するため、申請者の資産と資金の状況を確認します。

 また、免許交付の条件として、審査の許可があった後に、供託金を供託するか保証協会に加入することが必要です。不測の事態で消費者や取引先に影響を及ぼさないために義務付けられています。必要な資金は、供託の場合は本店では1000万円、支店は1事業所につき500万円です。保証協会では、本店は60万円、支店は1事業所につき30万円です。 

5.結び 

 このように、免許交付の要件を人・物・金に分類して整理してみました。宅地建物取引業法は、公正で安全な取引を確保するため、事業者になろうとする者の要件に重点を置いています。実際の審査では、それを補完するものとして、物と金の状況も含めて総合的に審査されます。審査は、基準に基づいて行われますが、行政の裁量的な要素もあり、一律に整理するには難しい点もあります。各都道府県の発行している申請の手引きと様式をよく理解して、それらが要求する内容を満たして申請することが、最低限求められます。 

次回は、宅地建物取引業の免許申請についてお話ししたいと思います。 

最後まで、ご覧いただきありがとうございました。 

            (参考文献) 宅地建物取引業法の解説(5訂版)平成223月 宅地建物取引業法令研究会編 住宅新報社刊                                        宅地建物取引業免許申請の手引 平成291月 東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課

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