宅地建物取引業の免許制度


 みなさんこんにちは、2回目の投稿になります。今日も前回に引き続き、宅地建物取引業を取り上げていきます。前回は宅地建物取引業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事から、免許を受けなくてはいけないことをお話ししました。今回は宅地建物取引業免許の制度について取り上げたいと思います。

1.宅地建物取引業にはなぜ免許が必要なのか

 日本では、営業の自由と私有財産が憲法のもとに保証されています。大きな前提はこの通りです。しかし、世の中を見渡してみると、商売するときに法律や条例等にもとづく様々な制限があることはお気づきと思います。また、財産の処分も同様に法律や条例等にもとづく様々な制限があります。

 これは、個人や団体の自由な活動が、他の個人や団体の幸福を阻害することや活動の障害になるのを予防するためです。宅地建物取引業においても、自己の利益の行き過ぎた追及などによって、社会の秩序を乱す行為があれば、国民の生活基盤となる宅地建物の取引に重大な支障があり、社会の混乱を招くおそれもあります。そのようなことがないよう、宅地建物取引業でも、法律が定める一定の条件を満たしたもののみに免許を与える制度にして、生活上の安全を確保しています。

2.免許はどこが与えるのか

 つぎに、宅地建物取引業を始めようとする人は、どこから(どこの役所)から免許を受けなくてはいけないでしょうか。宅地建物取引業法では、宅地建物取引業免許は国土交通大臣または都道府県知事が免許を交付します。その違いは、どこにあるのでしょうか。第31項ではつぎのように規定しています

  • 31項  宅地建物取引業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置して営もうとするものは国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。 

 条文にあるとおり、宅地建物取引業を営む事務所が2つ以上の都道府県に所在する場合は、国土交通大臣から免許の交付を受けます。事務所が1つの都道府県のみに所在する場合は、所在地を管轄する都道府県知事から免許の交付を受けます。 

3.事務所について

  宅地建物取引業法第31項にあるとおり、事務所の所在が宅地建物取引業の免許を受けるうえで大きな要素になっています。免許の交付申請の審査を行ううえでも、事務所の設置状況や態様は許可と不許可に係る重要な要素になります。ここでは、事務所について少し説明します。宅地建物取引業法第31項をうけて、宅地建物取引業法施行令第1条の2では、事務所を「本店または支店」と「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの」としています。これを、会社を例にしてお話ししたいと思います。「本店または支店」は、会社の場合は、登記記録に記載されている会社の本店と支店のことを意味します。本店の場合は、本店として会社を統括する機能を要求されますので、実際に宅地建物取引をしていなくても、宅地建物取引業に係る部分でも社内を統括する機能を果たすと考えることができるので、宅地建物取引業法の事務所になります。一方、支店は、宅地建物取引が行われている事務所のみを宅地建物取引業法の事務所として扱います。また、支店は本店から取引上の権限の授権をうけて、独立して取引できる決定権を持つ者が必要になってきます。一方、宅地建物取引を行っていない支店は宅地建物取引業法の事務所として扱いません。また、「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所で、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの」は、登記上の支店となっていなくても、独立した事務所の実体があり、宅地建物取引に関する契約に関する権限を持った使用人が所在するところ意味します。他の許認可申請でも事務所の設置は、申請を審査するうえでの大きな要素になっています。事務所をどのように設けるかは、よく検討すべき事柄です。

 4.免許に関するその他のこと

  宅地建物取引業法第3条と第3条の2では、免許についてつぎのことも規定されています。

 (1)免許の有効期間

 宅地建物取引業免許の有効期間は交付日から5年間とされています。交付から5年を経過して引き続き宅地建物取引業を行う場合は、免許の更新を申請して審査を受ける必要があります。個人でも会社でも、時々刻々に状況は変化していきますので、宅地建物取引業を継続して行う場合は、その時点で宅地建物取引業を行うことができる要件を満たしているか審査を受けることになります。

 (2)免許の条件

 宅地建物取引業の免許の交付は、行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)の裁量性がある処分とされています。免許を交付する際に、個々の免許にごとに、「免許交付後の最初の事業年度の取引実績を決算日から3か月以内に提出すること。」などといった条件を付して、免許を交付することができます。だだ、その条件は必要最小限でなくてはならず、不当な義務を課すものであってはいけません。

  2回目は、宅地建物取引業の免許制度についてお話しました。次回は、宅地建物取引業免許の許可要件について、お話したいと思います。

 最後まで、ご覧いただきありがとうございました。

              (参考文献) 宅地建物取引業法の解説(5訂版)平成223月 宅地建物取引業法令研究会編 住宅新報社刊

                     宅地建物取引業免許申請の手引 平成291月 東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です